エスクロー精算書(売主)
Q.エスクローの精算書に記載されているいろいろな経費について、簡単な説明をお願いできますか?
A.正式契約成立後に作成される精算書は、closing statement または settlement statementと呼ばれ、売主と買主の間で合意した売買契約に基づいて売主側の経費がリストされています。売却日時と売却価格、売却経費が記載されている証拠書類として扱われ、税金申告や保険の解約などの際に必要な書類となりますので、数年間は保管されることをお勧めします。
尚、エスクロー会社は、契約書類および精算書などを5 年間保管する義務がありますので、必要であればエスクロー会社に書類のコピーをリクエストすることが可能です。
*個々のケースにより、それぞれの必要経費の有無、またその額には大きな違いがありますので、あくまで一般知識としてご理解ください。
・ Closing Costs:不動産売却経費( 売主)
・ Contract Sales Price:契約価格。仮契約で合意された契約価格は、エスクロー期間中に価格が再交渉されるケースなどがなければ、そのまま最終契約価格となる。
・ Commission:不動産会社への不動産仲介料。MLS 不動産協会のサイトにリストされている売買物件は、通常、売主の費用として、売主と買主の両方の不動産会社へコミッションを支払う。
・ Settlement or Closing Fee:エスクロー会社の手数料、書類代行業費用。州ライセンスを持つエスクローは、売主、買主、どちら側にも関係のない第三者の立場で、必要書類、不動産権利、必要金額など、すべての必要事項を確認した上で、譲渡書の登録、売買契約の成立、必要金額の精算、および精算書の作成を行い、契約手続きを完了させる。
・ Title Insurance (owners coverage):権利保証は、不動産権利の正当性を守る賠償保障。不動産権利を、未登録の抵当権や、偽証、書類作成上のミス、署名者の法律上の有効性など、購入後に起こり得るトラブルからしっかりと守ってくれる。署名者の年齢、婚暦、健康上などの理由により、不動産の権利の有効性が不確かとなるケースなども保証対象となる。通常のアメリカの不動産の売買契約には、この権利保証が必須とされている。
・ Notary Fee:公証人費用。日本の権利書に値する大事な譲渡書は、州のライセンスを持つ公証人が本人確認を行ってから署名をするプロセスが必要になる。
・ Messenger Fees:書類配送費。正式契約成立時 (Escrow Close) には、権利保証会社は登録局で譲渡書の登録の確認を行う。
・ Documentary Transfer Tax:譲渡税= City/County Tax Stamps
・ HOA Transfer/Doc Fees:ホームオーナー協同組合 ( もしあれば) の手続き経費。バイヤーへ渡すホームオーナー協同組合の規則と制限など、登録されている必要情報書類の作成費用。
・ Pest inspection:シロアリ検査費用。通常の中古住宅売買契約では、シロアリ検査リポートをバイヤーからリクエストされるケースが多くある。
・ Home Warranty:1 年間の物件保証プラン。物件の電化製品や電気配線、プラミング、暖冷房機、温水器などが故障した場合、買主は保証会社を通して修理を行うプロセス。売主と買主の契約後のトラブルを回避する目的で、この保証プランが一般に使われている。
・ NHD (Natural Hazard Disclosure):該当物件の所在地、調査リポート( 地震、火災、
洪水の地域別リポート及び空港、軍基地などへの距離地図)。不動産売買の契約では、該当物件の立地条件に関する情報リポート内容を買主が承認することが契約内容の一部となっている。
・ Withholding Tax:源泉徴収税。契約物件が売主の居住住宅ではないと判断された場合、エスクロー会社は必要なホールド額をIRS =国税務局(10% of Contract Price /契約価格の10%)、Franchise Tax Board =カリフォルニア州税務局(3.33% of Contract Price 契約価格の3.33%) に送ることが義務付けられている。州税、FTB への減税申し込みには30 日内に返答を受け取ることも可能だが、IRS の返答は日数がかかってしまうため、通常10%がホールドされる。これはあくまで源泉徴収税であり、次の年の税金申告の際に、返金または追徴金が確認計算される。源泉徴収税額については、カリフォルニア州の税務局のサイト(www.ftb.gov)またはIRS のサイト(www.irs.gov)を参照のこと。